雑学「たわけもの」

 「たわけもの!」今ではこの言葉を使う人はあまりいません。しかし、この言葉ができたのは意外に最近のことなのです。
 江戸時代のことです。日本の人口の大半は農民という身分でした。その農民にはいくつかの階層が、上は本百姓から下は水呑百姓というのまでありました。これら階層の中で、自分の土地を持って耕作するのは本百姓です。そして彼らは世代が代わるたびに持っている田畑を子孫に譲っていくのですが、子供が二人以上いたら田畑を分けて譲りました。ちなみに武家は嫡子単独相続といって、長男がまるまる相続しました。本百姓は分けて相続するので取り分がおたがい少なく没落していく農民が続出したのです。これを見た人達が田畑を分けるものを”ばかなやつ”という意味を込めて「田分け者」と揶揄したのです。
 将軍様もこんなことではいかんということで、分地制限令という掟を出し、田畑の分割相続を制限しようとしました。