鎌雑

「マジ」のマジ!?な語源
若い人なら少なくとも2日に一回は必ず使ってしまうであろう言葉が「マジ」だ。

世の中がそれほど信じられないというわけでもないだろうが、相づちの代わりとしてもなかなか汎用性の高い言葉なので愛用されている。

 この言葉の語源、普通は「まじめ」の「まじ」をとったものだとされている。なるほど、「それ真面目な話!?」が略されて「マジな話!?」かなり信憑性のある説である。もちろんこの説は正しいと思う。 いや、正しいのだろう。

だが、ここにひょっとしたら・・・という全く別の説が存在する。
それは、打消推量の文語体である「まじ」からきたというもの。文語とは日本で古くに使われていた言葉だが、この中に「まじ」という助動詞が存在するのだ。

文語の「まじ」には様々な意味がある。だが、その中でよく使われるのが打消推量、すなわち「・・・ナイダロウ」という否定の意味なのである。 そもそも「まじ」は不可能や禁止、否定を表わす語。今でも使われる言葉に「あるまじき行為」というのがあるが、あれは「あってはならない行為」のこと。つまり「まじ」が打ち消しに使われているのだ。 現在使われている「マジ」も「そんなことはないんじゃないの?」という軽い否定のニュアンスが含まれている。

 「まじ」の活用形は次のとおり。

 

未然形
まじく

連用形
まじく・まじかり

終止形
まじ

連体形
まじき・まじかる

已然形
まじけれ

「まじ」が使われている書物には「ただ今は見るまじ」とある「枕草子」、「この事は更に御心より漏らし給ふまじ」という記述がある「源氏物語」など数多い。

これらの用法を見ていくと、「本当だろうか」ということを表わすのに「まじか」という言い方もあるのではないかと思われる。

思うに、「マジ」がこれほど違和感なく市民権を得たのは、「まじ」という言葉自体が元来持つニュアンスを日本人として遺伝的に知っているからではないか。つまり、「マジ」は文語の「まじ」の下地の上に今の地位を築いたと言えるのだ。